健康優良法人になっても意味はない?有意義なものにするためにできること
健康経営とは、社員の健康を管理するだけではありません。生産性向上や社員の定着率向上にも貢献できます。健康優良法人になれば社外からも評価され、会社の将来に大きなメリットをもたらすのです。そこで今回の記事では、有意義な健康経営のためにできることについて解説しましょう。社内の労働環境を向上させたい人は参考にしてください。
健康経営は意味がないのか
健康経営しても、あまり意味がないと考える人もいるかもしれません。しかし、近年は健康経営に対する意識が高まっています。健康経営優良法人に対する認定制度も始まりました。まずは、健康経営や健康経営優良法人とはなにかについて解説します。
健康経営とは
健康経営とは、経営的な視点で社員たちの健康管理を考え、戦略的に実践することです。社員の健康増進を図ることで、経営面において大きな成果が期待できるという考え方です。アメリカの経営心理学者によって提唱された考えで、日本でも認知度が高まりました。
健康経営優良法人とは
健康経営に取り組む法人に対して、経済産業省では認定制度を設計しています。2017年にスタートした健康経営優良法人認定制度です。健康経営を実践している、とくに優良な大企業および中小企業などを顕彰します。
認定を受けた企業は、いわばホワイト企業と考えてよいでしょう。社員、求職者、関係企業、そして金融機関などから、企業価値を適切に評価されます。
さらに、ホワイト500、ブライト500は、大規模法人および中小規模法人において、それぞれ上位500の優れた法人に与えられます。健康経営優良法人に認定されるためには申請が必要です。
健康経営は株価にも影響する?メリットを見直そう!
健康経営に成功すれば、会社の業績にも影響を与えます。さらには、株価にもよい影響が出る可能性まであます。ここでは、健康経営を実践するメリットについて説明しましょう。
生産性や業績の向上
社員が健康でなければ、仕事に対するモチベーションや生産性が下がってしまいます。効率的に仕事をこなせず、結果的に残業が増えて、会社が支払う人件費が増えてしまうでしょう。
長時間労働などの過労が続くと、心身の健康を損ないます。無理な生活を続けて病気になってしまい、数週間から数か月間、療養のために休職してしまうリスクがあります。
近年はワークライフバランスやウェルビーイングという考えが広まったこともあり、健康経営に取り組む会社が増えています。会社が社員の心身を大切にする姿勢を示せば、社員のモチベーションが上がります。
職場の雰囲気も変われば、生産性だけでなく、創造性も上がるでしょう。健康経営は、社員のエンゲージメント向上に大きく貢献します。
優秀な人材の確保
少子高齢化が急速に進む日本では、働き手不足が社会問題となっています。そんな中でも、社員の健康を大切にする会社の姿勢は、求職者にもアピールできます。
仕事に没頭するだけの人生ではなく、余暇や家族の時間を大切したいと考える人も増えています。健康経営であるとアピールすれば、求職者が集まりやすく、優秀な人材を採用できます。
また、安心して働ける職場環境であれば、なかなか社員は退職を考えないものでしょう。退職希望者が減り、離職率の低下につながります。優秀な人材が他社に転職するのを防げるはずです。
社員定着率がアップすれば、生産性向上につながるでしょう。また、新規採用にかけるコストや手間を大幅に減らせます。
ブランドイメージの向上
健康経営に力を入れているなら、社員が働きやすい会社であると社外からも認識されます。結果的に会社としてのブランドイメージが向上するでしょう。
健康経営優良法人に認定されると、ロゴマークを使用できるようになります。魅力的な会社であると認識されるので、ステークホルダーとの関係が良好になると期待できます。
東京証券取引所では、経済産業省と共同で、健康経営銘柄を選定し、公表しています。2023年には31業種49社が健康経営銘柄に選ばれました。魅力ある会社として紹介されるので、投資家たちに企業価値を評価されるでしょう。結果的には株価の上昇も期待できるはずです。
インセンティブを受けられる
健康経営優良法人や健康経営に取り組む会社に対して、さまざまなインセンティブがあります。自治体や金融機関等において利用できるので、事業の拡大などに活用できるでしょう。
健康経営を有意義なものにするためにできること
健康経営を実施している会社の中には、ただ健康管理するだけになっているケースもあります。また、すぐに健康経営の効果が実感できないケースや、社員に浸透しないというケースもあります。ここでは、健康経営をより有意義なものにするために、どんなことができるのか説明しましょう。
経営者が発信する
健康経営を実現するときは、経営者自身が社内外へ向けて、健康経営についてメッセージを発信しましょう。なぜ自社に健康経営が必要なのか、実施する理由や期待できる結果を社員に向けて説明する必要があります。
社員を大切にする会社であると発信することで、健康経営への社員たちの関心度も高まります。禁煙をすすめたり、運動を奨励したり、メンタルヘルスの向上を図りましょう。
また、経営者自身が、健康維持や増進に向けて努力している姿を、社内に発信することも効果的です。社員の健康リテラシーが高まり、自分自身の生活習慣を見直すきっかけになるでしょう。
自社のゴールを明確にする
健康経営を目指しているものの、ゴールがあいまいになっているケースも見られます。健康経営を始めるときは、自社が目指すべきゴールを設定しましょう。
健康経営のゴールとは、自社が抱えている経営課題が解決した状態のことです。ですから、優先して解決するべき経営課題を洗い出す必要があります。離職率の低下、長時間労働の解消、メンタルヘルスの改善といった、いま会社が抱えている課題に合ったゴールを設定します。
また、ゴールはあいまいな言葉ではなく、数値で評価できることが理想です。たとえば、社員の検診受診率の向上といったように、数字で結果がわかるようなゴールを設定しましょう。
また、企業理念や経営課題と、ゴールが矛盾しないように気をつけてください。さらに、設定したゴールは社員と共有することが重要です。社員たちがゴールをはっきり理解できれば、それぞれの意識が変わり、日々の行動が変わるでしょう。
定期的な改善
健康経営をスタートさせても、効果がすぐに表れるわけではありません。また、ゴールを目指す中で、すべてがスムーズにいくとも限りません。
そのため、健康経営を実施していく途中で、定期的に振り返る作業は欠かせません。PDCAサイクルで現状をチェックして、改善することが大切です。中長期的な視点で取り組み、途中で課題が見つかったなら修正する必要があります。
まとめ
今回は、健康経営を有意義なものにするポイントについて解説しました。近年はワークライフバランスという言葉が広く知られるようになり、働きながら健康的な生活を送る意識が高まっています。
とくに2020年のパンデミックを経験したことで、働き方の意識も大きく変わったといえます。会社が健康経営に取り組めば、社員たちの生産性やモチベーションが向上します。
求職者にも魅力的な会社と認識され、優秀な人材を確保できるチャンスが生まれるはずです。結果的に業績アップにつながり、株価にも好影響を与えるでしょう。健康経営を実践するときは、ぜひ今回紹介した方法を参考にしてください。