サウンドマスキングシステムとは?導入するメリットについても解説!

公開日:2022/03/01  最終更新日:2023/04/20

サウンドマスキングシステムという言葉を聞いたことがありますか?小さな音を流すことによって周囲への音漏れを防ぎ、遠くから聞こえる音を目立たなくさせるシステムのことです。今回はサウンドマスキングシステムについて詳しく紹介し、導入するメリットや注意点を解説していきます。気になる方はぜひご覧ください。

サウンドマスキングシステムとは?

サウンドマスキングシステムとは、BGMとなる小さな音を流すことで周囲の会話をブロックし、さらに周囲へ声が漏れることを防いでくれるシステムです。喫茶店や居酒屋などで音楽が流れていて、周りの会話があまり気にならなくなった経験があるかと思います。このように、音を流して集中力を削がれたり不快に感じたり音をブロックして過ごすことができます。

ノイズを除外するためには吸音、遮音、マスキングの3つの要素が重要です。吸音は吸音材の設置により音が聴こえにくくするものであり、遮音は密室状態を作り出して音を遮断するものです。

サウンドマスキングシステムは文字通りマスキングに該当します。ミーティングや重要な会議が行われるような場所は、基本的にしっかり区切られています。ただ、隣の部屋の声や廊下を歩く音が聴こえてきたことがありませんか?仕切るだけではマスキングという観点から見て不充分なのです。

そんな時にサウンドマスキングシステムを導入して周囲の音を遮断します。会話を完全にシャットアウトできるわけではありませんが、何を話しているかはほぼ分からないという環境を作り出します。

■どのような音が鳴る?

サウンドマスキングには環境音、情報マスキング音、演出音などの種類があります。環境音とは川の流れる音や森の中にいる時の音、都会の雑踏などです。サウンドマスキングを目的とした音は、適切な音量を保たなくてはいけません。音が大きすぎるとかえってそちらに気を取られてしまいますし、小さすぎるとマスキング効果が得られなくなってしまいます。

■人体の構造に適った仕組み

人の聴覚は、心地よい音が聴こえてくると不快に感じる音が聴こえにくくなるようにできています。その性質を利用して耳になじむ周波数帯の音を流すことで、集中を妨げるようなノイズや会話を遮断するのです。仕事や会議に取り組みやすい環境づくりに一役買ってくれるでしょう。

■ノイズキャンセリングとの違い

その他のマスキングシステムとして、ノイズキャンセリングがあげられます。サウンドマスキングシステムは耳なじみのよい音を流してノイズを打ち消すシステムです。一方、ノイズキャンセリングは周囲の音を聴きとってノイズを耳に届かなくする仕組みのことをいいます。ノイズと逆位相の音波を発信して音をキャンセルすることでノイズを打ち消します。

■設置場所

サウンドマスキングシステムは、スピーカーを設置して導入されます。オープンオフィスなど仕切りがない開けた空間では、ボックス席ごとにブロック分けして天井にスピーカーをつけ、そこから音を流します。

換気したり火災時に煙の充満を防いだりするために、天井に隙間(欄間)を設けているオフィスもあるでしょう。ただ、この隙間から会話が聞こえてしまうケースも少なくありません。そこで、隙間付近にサウンドマスキングを施せば双方の会話を聴こえにくくすることが可能です。

他におすすめの設置場所はドア付近です。ドアをきちんと閉めておけば大丈夫と思うかもしれませんが、わずかな隙間から音が漏れる可能性があります。会議の重要な内容が流出しないよう、ドア付近にサウンドマスキングシステムを設置してください。

オープン空間をパーテーションで仕切り、そこをサウンドマスキングすることで視覚だけでなく聴覚の面からもセキュリティを確立できます。周囲を気にせず集中して仕事に取り組める環境づくりに取り組みましょう。

■音の流し方

音を流す方法はいくつかあります。最も手っ取り速いのはCDを再生することです。1CDを買うだけでよい一方、再生が終了すると誰かがまた再生しなくてはいけません。同じ音楽をずっと聴き続けていくと集中力アップの効果が薄れる可能性もあります。複数枚CDを用意して、容量の大きいCD-ROMを作るなど対策をとってください。

音楽ストリーミングサービスを利用すれば定額でさまざまな音楽を流すことができます。ただ、シャッフル再生ではオフィスに向かない音楽が流れてしまうケースも。プレイリストを作成することをおすすめします。

サウンドマスキングによる効果とは?

サウンドマスキングとは、自然の音や都会の雑踏、クラシック音楽などを流して集中力を高めるというものです。

たとえば、会議をしていて周りの音が気になったり、反対に自分たちの話している内容が外に漏れていないか不安だったりした経験はありませんか?個室の会議室はもちろん、パーテーションなどで区切られたオープンオフィスで話している場合、周囲が気になって会議に集中できない人もいるかと思います。

とくに機密事項を扱うような重要な会議の場合、誰かに内容を聞かれるわけにはいきません。しかし、小声で話すと会話の内容が聞き取りにくくなるというデメリットがあります。

そこで活用したいのが、サウンドマスキングです。サウンドマスキングによって、会話漏れや外から入ってくる音を軽減することが可能です。安心して会議に集中できることから、効率よく話を進められるでしょう。

■サウンドマスキングはオフィススペースでも活躍

サウンドマスキングを導入するのは、会議室だけではありません。通常の業務を行うスペースでも有効活用できます。オフィスの天井にスピーカーを設置して、そこからBGMを流せば、周囲の雑音や会話が耳に入りにくくなります。作業に集中できる環境が整って、社員のやる気向上につながるといえるでしょう。

周囲がうるさくても集中できませんが、人間は完全な無音状態よりわずかに環境音が聞こえる方が集中力が高まる傾向があります。その性質を利用して、自然の音や集中に邪魔にならない音楽を流し、社員の集中を促せるのです。自分が周囲の音が気にならなくなれば、他の人も自分がたてる物音や足音が気にならなくなると考えられます。

オフィスの机の引き出しを開け閉めする音や椅子を引く音、離席する際の足音など静かな環境だとうるさく思われないか不安なケースもあると思いますが、そのような心配も軽減できます。

■会話を遮断するのではなく聴こえにくくする

サウンドマスキングはその性質上、完全に会話をシャットアウトできるものではありません。そもそも、完全に音を遮断するのは防音に属するため、マスキングとは性質が異なります。

サウンドマスキングは「周囲の人が何かを話しているかは分かるけれど、何を話しているかまでは分からない」という状況を作り出すものです。完全な防音・遮音は叶いませんが、すでに完成している建物にも簡単に後付けできて、費用も抑えられるという特徴があります。

音が聴こえにくくなる仕組み

サウンドマスキングは、一定の周波数帯の音を流すことで、同じ周波数帯の音が聴こえにくくなるという仕組みになっています。つまり、人の話し声に近い周波数の音を採用するとより効果的です。

また、流す音がうるさかったり、聴く人が不快な思いをしたりするものでは意味がありません。ヒーリング効果の高いものやオフィスの雰囲気・環境にあわせたものを選ぶことが重要です。

音楽を流す方法もありますが、普段聴き慣れない音が耳に入ると集中できない人もいるため、環境音やエアコン・空調の音を流すケースも存在します。

その他に、BGMサービス会社というものがあるのをご存じですか?選曲やCD入れ替えという手間を省き、オフィスに適した音楽を流してくれます。サウンドマスキングの他にもリラックスに特化した音楽などバリエーションが豊富で、聴いている方も飽きにくいのが特徴的です。

オフィスで流すための音楽が集まっており、著作権を気にする必要がありません。ただ、BGMサービス会社と契約を結ぶことになるので、コストは他の方法に比べ高くなっています。それぞれのメリット・デメリットを比較してみてください。

 

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サウンドマスキングシステムを導入するメリット

サウンドマスキングシステムを導入することで得られるメリットを紹介します。まず、周囲の気になる音を防いでくれるので作業効率が上がることがあげられます。

どんなに目の前の作業に集中しようと思っても、話し声や足音が耳に入るとそちらに気を取られてしまうかもしれません。そこで、サウンドマスキングシステムを有効活用して生産性を向上させましょう。会議中は議論にもより集中できるようになり、結果的によいものが生み出せることにつながる可能性が高くなります。

また、自分が周囲の音が気にならなくなるということは、周囲も自分の音が気にならなくなるということです。皆が仕事しているオフィスで物音を立ててしまうと、周りに迷惑がかかるのではないかと気を張る人もいるかと思います。サウンドマスキングシステムのおかげでそのような緊張状態がほぐれ、オフィスでよりリラックスして過ごせます。

■導入は比較的容易

天井や隙間、ドア付近など、サウンドマスキングシステムを設置する場所はある程度決まっています。つまり、導入の際に別の設備や備品を用意する必要はありません。音に関する悩みを解消する目的であるため、オフィスのレイアウトやデザインを変更することなく導入可能です。もちろん導入の際に合わせて配置を変えるのもよいでしょう。

そして、設置にはそこまで時間がかかりません。早ければ即日、長くても2~3日で工事が終了します。会社が休みの日やオフィスにいる人が少ない日を狙って素早く導入できます。壁に防音工事を施すより費用も安く済む点がおすすめポイントです。

また、建物は消防法を守らなくてはいけません。換気や避難通路の確保が優先されている場所は、どうしても他の場所に比べて開けた空間になってしまいます。防音対策が困難な場所にサウンドマスキングシステムを設置すれば、建物の安全性を守りつつ容易に防音できる点が魅力的です。

サウンドマスキングシステムを導入する際の注意点

サウンドマスキングシステムは会話の内容や周囲の雑音を気にならなくさせるためのシステムです。完全な防音効果はありません。音が一切聴こえず集中できる環境を作りたい場合は向いていないので注意しましょう。

そして、会話内容を聴こえにくくするためのものであり聴こえなくするものではありません。重要度の高い会議内容や周囲への流出を一切防ぎたい内容を離す時は、充分配慮してください。

そして、導入する環境によってはサウンドマスキングが適していないケースがあります。人が多く密集し、話が飛び交うような場所では大きな音を流さなくてはいけません。今まで流れなかった大きな音が聴こえることで、反対に集中力が失われる恐れがあります。あまり人が多すぎる場所にサウンドマスキングシステムを設置するのはおすすめできません

サウンドマスキングの目的で大きな音を流してしまうと、目の前にいる人との会話も困難になってしまいます。設置する目的はしっかり意識しておきましょう。完全でなくても、ある程度遮音・防音が確立された状態で導入するとより効果的です。

■音のバランスを考えて

人は完全な無音状態より、わずかな環境音などが聴こえている方が集中できるという研究結果があります。しかし、音が大きくなってしまうと集中できません。その音量のバランスを見極めることが重要です。

■導入するスピーカーの種類を把握

スピーカーの種類によって、マスキングできる範囲が異なります。周囲何メートルに効果があるのかきちんと把握して設置しなければ、意味がなくなってしまうので気を付けましょう。

一般的にサウンドマスキングシステムのスピーカーは天井やパーテーション、壁の隙間などに幅広く設置できます。社員に音が届くかどうかを考えて設置する場所を決めてください。

■設置する場所に注意

サウンドマスキングは会話している場所ではなく、会話漏れを防ぎたい場所に設置します。つまり、会議の内容を外に聴かせたくない場合、会議室ではなく廊下や隣接する部屋にスピーカーを設置するのです。流す音もオフィスの空気や雰囲気を損なわないものを選んでください。

オープンオフィスに設置するなら空調の音や雑踏の音もよいかもしれませんが、厳重な会議室などにはあまり適していません。そもそも音が流れていること自体に抵抗を感じる場所では、サウンドマスキングシステムを導入できなくなってしまいます。

また、導入する機材によって設置間隔は異なります。周囲3mに効果があるのか5mに効果があるのか、きちんと把握しておかなければせっかくお金をかけて導入したサウンドマスキングシステムが意味をためさなくなってしまいます。スピーカーの設置場所や天井の高さなど、事前に説明して最も適した機材・間隔を見極め、どこに設置するか社内でしっかり方針を固めておきましょう。

サウンドマスキングシステムの導入がおすすめの職場

会話が周囲に漏れることを防止してくれるマスキングシステムを導入すべき職場はたくさんあります。人が多く出勤するようなオープンオフィスがある職場では、会話漏れ・作業妨害防止といった観点から導入することをおすすめします。とくに個人的な悩みや疑問を解決するような場所では、大いに活躍するでしょう。

たとえば、弁護士事務所や税理士事務所、金融機関など、プライバシーに関する相談をする場所では顧客も緊張や不安を抱えていることが予想されます。そのような職場でサウンドマスキングシステムを導入すると、他の人や働いている職員に会話を聞かれる心配がなくなります。

完全に仕切られた個室で、11で話すという方法もありますが、初対面の人と2人きりになると、かえって緊張感が増してスムーズに話せないかもしれません。ある程度ひらけた場所の方が話しやすいという人もいるでしょう。そういった方への配慮にもつながります。

■癒し・リラックス効果が期待

音楽にはさまざまな心理的効果があり、音楽を聴く・歌う・演奏することによってリラックス効果が得られるのです。そのことをサウンドマスキングでも上手く活用できるといえます。オフィスでリラックス効果が期待できる音楽を流せば、社員の心理状態が良くなり、やる気やモチベーションアップが期待できます。

緊張のあまり頭がパニック状態になることを防ぎ、仕事がしやすい環境づくりに一役買ってくれるでしょう。また、医療現場でもサウンドマスキングシステムが活用されています。医師との会話が待合室まで聞こえる心配がないため、踏み入った話や質問もしやくなることにつながります。周りを気にし過ぎると医師や職員の集中力が低下する恐れがあるため、それを未然に防ぐことも可能です。

職員と患者双方によってメリットが大きいシステムです。そして、宿泊・観光施設でもサウンドマスキングが活躍できます。せっかくのホテルステイを満喫するために来ているのに「隣の部屋がうるさい」「従業員の話し声が聞こえた」などの理由から気分を害してしまう人もいます。

宿泊施設をサウンドマスキングすることで、癒しの音楽が流れていることと周囲の音が聴こえにくくなること、両方の面からよりリラックスして過ごすことができます。このように、場の雰囲気をよくしたい、働いている人の集中力を上げたい、機密を保持したいという職場にサウンドマスキングシステムを導入してください。

 

サウンドマスキングシステムについて解説しました。音を完全に遮断するのではなく、快適で心地よい音を流して周囲の音を気にならなくさせることで作業効率の向上が見込めます。防音工事に比べ費用が安く工期も短い点が特徴的です。

周囲の音に邪魔されず、さらにリラックスして仕事を進められるのは嬉しい限りかと思います。導入時は建物の構造やどこに設置するのかということをしっかり定め、どんな方法で音楽を流すのか予算と目的に合わせて選ぶことをおすすめします。

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