なぜお店で音楽を流す?BGMがお客さんに与える影響を解説!

公開日:2024/11/01  

BGM お客さんに与える影響

お店に入ると、何らかのBGMが流れていることがほとんどでしょう。それは流行りの音楽だったり、高級感のあるクラシック音楽だったりします。ところで、BGMを流すと、お客さんの購買意欲や滞在時間に影響を与えることをご存じでしょうか?本記事では、BGMがお客さんに与える影響について解説します。

お客さんの好みや商品に合ったBGMが与える効果

近年、店舗の雰囲気がお客さんの行動に与える影響について、心理学的側面からの研究が行われています。店舗の雰囲気は外部刺激であり、これがお客さんの感情に影響を与え、接近行動または回避行動につながるのです。

お客さんの感情は快楽度と覚醒度の組み合わせで表現され、快い感情の状態で覚醒が高まると接近行動が増幅され、不快な感情の状態で覚醒が高まると回避行動が増幅されます。

音楽がお客さんに与える影響

音楽は、お客さんの行動に影響を与えることがさまざまな実験で証明されています。たとえば、アパレル・チェーン店では、客さんの好みの音楽がかかっていると滞在時間が長くなり、購買金額も上がるのです。同様に、レストランでも好みの音楽が滞在時間や会計金額だけでなく、レストランへの評価や再度来店したいという気持ちによい影響を与えています。

しかし、音楽の好みは個々人で異なります。裏付けとして、その人が24歳ごろに流行っていた音楽を好む傾向があるという研究結果が発表されているのです。

BGMは商品選択にも影響を与える

商品に適したBGMを流すことで、お客さんの商品選択に影響を与えることも可能です。たとえば、ワインショップでは、ワインのイメージに合ったクラシック音楽を流すと高価なワインが購入されやすくなります。

同様に、カフェではクラシック音楽が流れていると高所得者向けの場所と感じられ、購買金額が上がる傾向にあるのです。

BGMと時間の関係性

BGMと時間には、一見すると何の関連性もないように感じるでしょう。しかし、店舗内でのBGMがお客さんの滞在時間におよぼす影響についての研究から、時間とBGMの関係性が浮かび上がるのです。

長時間店内に滞在すればするほど、お客さんは予定外の商品を購入する可能性が高まります。そして、BGMはこの滞在時間を延ばす要因のひとつとして期待されているのです。

テンポ感がお客さんの移動速度に影響を与える

実験では、スーパーマーケットやレストランにおいて、テンポの遅いBGMがお客さんの移動速度を遅くし、滞在時間を延ばす効果が確認されました。とくに、マイナーコードのテンポの遅いBGMは売上に有効に働き、悲しい気分にさせることで高価な商品を選びやすくなる傾向があります。

BGMと時間の知覚には関連がある

この滞在時間の延長は、時間の知覚と密接な関係があります。音楽のテンポや複雑さが時間の知覚に影響し、複雑な刺激や不慣れな音楽ほど時間がゆっくり流れるように感じられるとされているのです。

たとえば、若者は不慣れな音楽が流れているときに、より長く時間を感じる傾向があります。

音量が大きいと知覚時間は長くなる

BGMの音量も時間の知覚に影響を与えます。音量が大きいと知覚時間が長くなる傾向があり、とくに女性の方が顕著です。これは女性の聴覚が鋭く、また若い男性のほうが大きい音量に慣れていることが理由とされています。

知覚時間を長くすることは、購買行動に影響を与えるだけでなく、お客さんの待ち時間に対する心理的コストを軽減し、店舗の評価を向上させる重要な要素です。

なぜBGMがお客さんに影響を与えるのか

BGMが消費者行動に影響を与えるメカニズムについて、近年の研究が注目されています。とくに2000年以降、五感への刺激が消費者行動に及ぼす影響メカニズムの解明に対する関心が高まっているのです。

これは、企業が自社製品を差別化し、インターネット通販に対抗する手段としてBGMを活用する傾向があるためでしょう。

音楽の影響力に関する具体的事例

救急車のサイレンの音が近づくと高く聞こえ、遠ざかると低く聞こえることを感覚的に知っています。この感覚は、対象への評価に無意識的に影響を与えるのです。解釈レベル理論に基づく研究では、音楽の高低によって、サービス環境の評価が異なることが明らかにされています。

具体的には、高音のBGM下では抽象的なサービス要素が重視され、低音のBGM下では具体的なサービス要素が評価される傾向があると報告されているのです。

音楽・BGMに関する研究は商品の評価の助けになる

このような研究は、音楽が製品やサービスの評価に与える影響を体系的に理解するための一助となっています。感覚マーケティング研究において、音楽の重要性が再評価され、消費者行動への影響メカニズムの解明が進められているのです。

これにより、企業はBGMを通じてお客さんの心理に働きかけ、商品やサービスの評価や選択に影響を与えられます。BGMがお客さんに与える影響に関する研究の今後の発展は、ビジネスを展開する上で見逃せない要素でしょう。

音楽ジャンルごとに与えられる効果を紹介

音楽には、さまざまなジャンルがあります。ここでは、音楽ごとに異なる業種の店舗に合う理由や効果について紹介しましょう。

クラシック

まず、クラシック音楽はその優雅さや高級感から、和食やフレンチ、バーなど高級感や落ち着きを重視するお店でよく使われます。とくに、ワインとの相性がよいため、ワインの産地に合わせてその国や地方のクラシック音楽を流すこだわりの店も見られます。

また、高級店に限らず、落ち着いた雰囲気を演出したい場合にも、クラシックは効果的なBGMです。

ジャズ

ジャズはその親しみやすさと多彩な曲調から、さまざまな業種の飲食店で利用されています。ポップな曲調は洋風居酒屋やファミリーレストラン、落ち着いた曲調はカフェやバーなどで利用されるだけでなく、ファーストフードやラーメン店でもBGMとして活用されているのです。

ポップス

ポップスは繁華街など若い客層や家族連れが多いお店でよく聞かれます。馴染みのある曲が多く、客層を選ばないため、一番無難な選択とされているのです。

とくにJポップの流行りの音楽や人気アニメとのタイアップ曲は、キャッチーな音楽としてテンポBGMとしての採用率が高い傾向にあります。

昭和歌謡・演歌

近年では昭和レトロの人気が高まっており、昔ながらの居酒屋などで昭和歌謡・演歌をBGMとして取り入れる店舗も増えています。昭和の歌を流すことで、お客さんが昭和の雰囲気を楽しめるよう演出できるのです。

また、少子高齢化の影響から高齢者層のニーズを満たすことで、新たなお客さん層の開拓にもつながるケースもあるでしょう。

西洋音楽・伝統音楽

ピアノやバイオリンの西洋音楽や箏曲などの日本伝統の音楽は、ひとつの楽器で耳障りにならず、優雅な雰囲気を醸し出せます。そのため、フレンチレストランや日本料理店などで使われています。

BGMのチョイス次第で店舗の評価上昇が期待できる

これらの音楽ジャンルは、店舗のコンセプトやターゲット客層、提供する料理や雰囲気に合わせて選ばれることが多いです。その効果はそれぞれの店舗の狙いによって異なります。

しかし、適切に選ばれたBGMはお客さんの滞在時間を延ばし、店舗の雰囲気やサービスをより高く評価させる効果が期待されます。店舗のBGM選びで悩んだ際は、同業のほかの店のBGMを参考にするのもひとつの選択肢です。

まとめ

BGMが店舗運営に与える影響は計り知れません。適切に選ばれた音楽はお客さんの心を掴み、滞在時間を延ばし、購買意欲を高めます。お客さんの好みや店舗のコンセプトに応じて、クラシックからジャズ、ポップス、昭和歌謡まで幅広いジャンルが活用されています。音楽のテンポや音量も重要で、適切に調整されることでお客さんの心理的コストを軽減し、店舗の評価を向上させられるでしょう。

BGMは単なる背景音楽にとどまらず、顧客体験を豊かにする重要な要素となっています。店舗経営者として成功するためには、音楽の力を最大限に活用し、お客さんとの良好な関係を築くことが求められるでしょう。

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