オフィスや店舗でラジオをBGMとして流すのはあり?違法になる?

公開日:2022/09/15   最終更新日:2023/11/02


オフィスや店舗でBGMとして音楽を流していることがよくあると思います。何もBGMがないのに比べて空間の雰囲気がよくなる反面、BGMを選ぶのに苦労するという声もあります。そうしたときに常に音楽やナレーションが流れている「ラジオ」をBGMとして流すの大丈夫なのでしょうか?ここではラジオをBGMとして使用する際の注意点についてご紹介いたします。

ラジオには2種類ある

ラジオと一言にいっても、大きくわけると「無線ラジオ放送」と「有線ラジオ放送」の2種類があります。

「無線ラジオ放送」とは、AMラジオやFMラジオなど、放送局から電波を発信して音声を届ける放送のことです。一方で、有線ラジオ放送とは、電話線やケーブルテレビ、インターネット回線などの有線通信設備を用いて音声を届ける放送のことで、放送局と受信契約をしているユーザー(聴取者)を有線によってつなぎ、直接放送を届けるものです。

「有線ラジオ放送」は、電波の利用方法が厳密に定められている無線ラジオ放送に比べて、多くのチャンネルを使用した多彩な放送を行うことが可能で、様々なジャンルの音声放送が流されています。また、放送局からのアンテナから発信される電波が届かなくでも、ケーブルさえ敷設すればクリアな音声で放送を楽しむことができます。つまり、無線ラジオ放送は電波により不特定多数のユーザー(聴取者)に向けて放送するのに対して、有線ラジオ放送は、受信契約をしているユーザー(聴取者)に向けて放送するという違いがあります。

インターネットラジオを流す場合は手続きが必要

AMラジオやFMラジオなどの無線ラジオ放送を、そのままBGMとして流す場合には、著作権の利用許諾手続は必要ありません(著作権法第38条3項)。

一方で、インターネットラジオなどの有線ラジオ放送をBGMとして流す場合には基本的にBGMの利用許諾手続きが必要となります。ただし、教育機関での利用や、工場や事務所などでの主として従業員のみを対象としてBGMとして流す場合には、当面の間、利用許諾に基づく使用料は免除となっています。

また、BGMの音源提供事業者から音源の提供を受けている場合は、当該音源提供業者が代理でBGMの著作権使用料を支払っているため、BGMの利用手続きが不要となります。つまり、インターネットラジオなどの有線ラジオ放送をオフィス(工場や事務所などで主として従業員のみを対象とする場合を除く)や店舗でBGMとして利用する場合には、自ら利用許諾手続をとるか、有線ラジオの放送主と当該利用許諾手続を含む契約を結ぶなど、きちんとした手続きをとる必要があります。

インターネットラジオの公衆送信権とは

それでは、なぜこういった手続きをとる必要があるのでしょうか。それは著作権の一部として「公衆放送権」が保護されているからです。

「公衆送信権」とは、著作物を、放送、有線放送、インターネットなどで、著作物を公衆向けに送信することを著作者に占有させる権利のことであり、公衆向けであれば、無線であるか有線であるかを問わず、あらゆる送信形態が対象となります。

ただし、先ほども少し述べたように無線ラジオ放送をそのまま流しているような場合では、著作権法第38条3項によって許諾手続が不要とされています。一方で、インターネットラジオなどの有線ラジオ放送の場合は、この著作権法第38条3項の適用外となるので、この公衆送信権を保護するという観点でも上述の利用許諾手続をとる必要があるのです。

オフィスや店舗でラジオをBGMとして流すメリット

それでは、あらためてオフィスや店舗でラジオをBGMとして流すことには、どのようなメリットがあるのでしょうか。オフィスでBGMを流すことと、店舗でBGMを流すことにわけて、そのメリットについてご紹介させていただきます。

まず、オフィスでBGMをながすことについてのメリットです。そもそも、オフィス空間に求められるイメージは、時代とともに変化してきています。ひと昔前であれば、仕事を行うための設備さえ備わっていればよいという考え方が一般的でありましたが、最近ではオフィス空間の快適性やデザイン性なども重要視されるようになってきています。

とくにコロナ禍で、テレワークと出社での勤務スタイルが混在するハイブリットな働き方が浸透してくるなかで、出社時のオフィス空間が閑散として無機質な雰囲気となってしまう可能性が大きくなってきています。BGMをオフィスで流すことによって、こうしたオフィスの雰囲気を和らげるという効果が期待できます。雰囲気を和らげることにより、従業員のモチベーションを高める効果が見込まれます。

また、そういった無機質な空間では、社員同士でも必要最低限のコミュニケーションしか取らなくなってしまうことがあり、業務情報の伝達などもうまくいかなくなってしまうなど、業務に支障をきたすなど生産性をさげてしまう危険性があります。つまり、沈黙が続き、シーンとした空間では必要な会話すらも気を使ってしまって発しにくくなってしまうということです。そんなシーンとしたオフィスにBGMを導入することによって、適度に雑音が発生することで、話しやすい空間環境に変わり、それによって従業員同士のコミュニケーションも活発になりやすいと言われています。コミュニケーションが活発になれば、それにより仕事の効率も向上し、生産性をあげることにも繋がるといえるでしょう。

続いて、マスキング効果によるノイズの削減効果が期待できるということです。「マスキング効果」とは、同じ周波数の異なるふたつの音が重なった際に、片方の音がかき消される現象のことをいいます。シーンとした空間では、ちょっとした話し声やパソコンのキーボードの打刻時の操作音などでも、気になってしまいます。これらのいわばノイズ音が気になってしまって、仕事に集中できないということも生じえます。オフィス空間でBGMを流すことによって、こういった不要なノイズ音が耳に入りにくくなり、集中力を高めることにつながる効果が期待できます。

学術的にもこのマスクキング効果に関する研究結果が発表されています。2018年に北星学園大学が「BGMによる言語ノイズのマスキング効果」について研究発表を行っていますが、そのなかで、単純作業と高度な知的作業をBGMがある環境とない環境でそれぞれ行い、得点を比較した結果、いずれの作業でもBGMがある場合のほうが高い成果がでたことを明らかにしています。この研究結果からも、BGMを流すことによって、作業結果を向上させる効果があるといえます。

次にメンタルケア効果を期待できるということです。つまり、音楽を聴くことで不快な気持ちやストレスを軽減させ、リラックスできる効果を期待できるというものです。先ほども述べましたが、シーンとした空間では、ちょっとした話し声やパソコンのキーボードの打刻時の操作音などでも気になって聞こえてしまいますが、これらのノイズ音が情報としてはいってくることで不安やストレスを感じてしまう危険性があります。こうしたノイズ音をBGMで打ち消すことで、逆にリラックス効果やストレス軽減効果が発揮され、社員のメンタルケアに繋がるといえます。

そして最後に、流れるBGMにより時間管理のツールとしても利用できるということも、オフィスにBGMを流す効果としてあげることができます。例えば、午前と午後、業務時間と休憩中などで異なるタイプの音楽を流した場合、流れている音楽によって大まかな時間のイメージをつけることができます。

それによって、この音楽が終わるまでにここまで終わらせる、などといった明確な目標や管理指標をもつことができ、結果的に業務の時間管理につながる可能性があります。このようにオフィスにBGMを導入することによって、コミュニケーションの活発化や作業への集中度を高める、疲労軽減をはじめとしたメンタルケアなど、さまざまな面で良い結果がもたらされるのです。どうように店舗でもBGMを流すことには大きな効果が期待できます。一番大きな効果としては、店舗にいらっしゃったお客様のイメージを誘導する「イメージ誘導効果」があげられます。

つまり同じ内装であっても、流れている音楽によって、異なる雰囲気が演出できるということです。時間帯やシーン、店舗のイメージなどに合わせて音楽を選ぶことで、お客様の店舗に対して持つイメージをコントロールすることができ、サービスだけではなく、その空間にいることに対しての満足度も向上させることにつながります。ただし、この効果を最大限に発揮するためには、BGMを効果的に選ぶということが不可欠です、万人受けする流行りの音楽やオーナーが好きな音楽を流すだけでは、思うような効果には繋がりません。時間帯やシーンといったTPOに合わせて、音楽を選択することが重要です。

このようにオフィスや店舗でBGMを流すことには、多くのメリットがありますが、一方で、流す音楽を選択するという難しさもあります。ここで、インターネットラジオの強みが大きく発揮されることとなります。インターネットラジオをはじめとする有線ラジオ放送では、ユーザー(聴取者)との受信契約により成り立っていますが、ユーザーの多様なニーズに応えるために非常に多くのチャンネルが提供されています。目的に合ったチャンネルを選ぶことで、比較的簡単にオフィスや店舗に流すBGMを選択することができるのです。

まとめ

さて、ここまでオフィスや店舗にBGMを導入することにより、どういった効果が期待できるのか、またBGMの導入のためには、どんな手続きが必要なのかをご紹介してきました。確かに著作権上、いくつかの手続きを経る必要がありますが、ご紹介のとおり、BGMを導入することによって、多くのプラスの効果が期待できます。

また、オフィス環境や店舗雰囲気を変えるためには、レイアウトを変更するなど、さまざまな方法がありますが、BGMの導入であれば比較的簡単に行うことができるという点も、とっかかりやすい嬉しいポイントです。空間の環境を大きく変えるような改善は、すぐには実施できないないという場合ももちろんあると思いますが、ぜひオフィスや店舗にBGMを導入し、空間の雰囲気を変えることから、始めてみてはいかがでしょうか。

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