CDやサブスク音源を店舗BGMに使用するのは違法?

公開日:2022/05/01  最終更新日:2022/05/20

違法

さまざまな場所や店舗で流れているBGMですが、店舗で流すことのできるBGMにはルールがあることをご存じでしょうか。著作権などが関係してくる問題で、BGMひとつをとっても細かい決まりが存在します。今回は、CDやサブスク音源を店舗BGMに使用するのは違法かどうかに焦点を当てて、詳しくご紹介していきます。

CDやサブスク音源を店舗BGMに使用するのは違法?

CDやサブスク音源を、許諾を得ずに店舗BGMとして使用することは違法、または利用規約違反になります。その背景にはサービスの利用規約や、著作権法などが密接に関わっており、民法や刑法などにも抵触してしまう危険性があります。ここではCDとサブスク音源にかかる著作権や、違法になってしまう理由を詳しく解説します。店舗BGMにサブスクやCDを利用しようと考えている人はぜひ参考にしてください。

著作権と保護期間について

著作権とは、簡単にいうと「著作物を創作したことにより著作者に発生する権利」で、著作物の公正な利用と著作者の保護との調和を図るために設定されたものになります。文芸、学術、美術、音楽などの分野で、人間の思想や感情を創作的に表現したものを、勝手に利用されないよう保護するというものです。

著作物全てに著作権が発生するため、これを侵害してしまうと著作権侵害になってしまいます。また、著作権には保護期間が設けられており、著作者が死亡した年の翌1月1日から70年が経過すると権利が消滅します。著作権が消滅した後は、許諾なしで利用することのできる著作物「パブリック・ドメイン」に切り替わります。

CDの場合

著作権は音楽にも発生するため、CDには当然ながら著作権が発生します。著作権には複数の権利が保護されており、CDなどの音楽には著作物を無断で上演、演奏されないように保護する、上演権および演奏権が存在します。

また、CDなど音が録音された媒体はレコードと呼ばれ、レコードに収録されている音を最初に固定した者をレコード製作者と呼び、著作権とは別に著作隣接権という独占的な権利が発生します。

こうした権利は著作権者の許諾を得なければ侵害してしまうことになるので、許諾を得ずに店舗BGMとして使用した場合違法となるのです。店舗BGMとして利用する場合は、必ず許諾を得るようにしましょう。

サブスク音源の場合

サブスク音源は利用規約にもあるとおり、個人利用サービスとなっています。個人利用の場合は、著作権のある音楽でも著作権が制限されるので罰則を受けません。しかし、個人利用前提のサービスを店舗BGMとして使用した場合は、商用利用または個人利用外として、著作権法に抵触してしまうのです。

多くのサブスクの利用規約には「非商用目的の利用のみ」といった記載がしっかりとされているので、著作権侵害の以前に利用規約違反となってしまいます。どこでも音楽を聴くことができる便利なサブスクですが、商用利用はできませんので注意しましょう。

店舗BGMを違法に使用した際の罰則とは?

著作権を侵害したとして違法になった場合、民法と刑法それぞれの罰則が発生します。民法では、行為を止めるように請求する「差し止め請求」や金銭的な損害の補填を求める「損害賠償請求」や不当な利益を返還するように請求する「不当利益返還請求」が科せられる場合もあります。

また刑法では、5年から10年以下の懲役または500万円から1,000万円以下の罰金、もしくはその両方が科せられる場合もあるため、気をつけなくてはなりません。

店舗BGMを合法的に流す方法

BGMを流している店舗が全て著作権に違反しているわけではなく、店舗BGMを合法的に流す方法も存在します。ここではその方法を詳しく解説します。

著作権の許諾を得る

購入したCDなどのレコードは、レコードに発生する著作権や著作隣接権の許諾を得るか、その権利をまとめて管理している団体へ許諾を得る必要があります。管理団体へ許諾申請をする場合は、年間や月間で利用料が発生することが多く、無断で利用した場合には、民法刑法の両方で罰せられる場合があるので注意が必要です。

逆にそうした管理団体と直接契約を結ぶことができれば、団体が管理している著作権の楽曲を使用することが可能になるというメリットもあります。

著作権フリーの音源を流す

著作権の許諾を得るためにはそれ相応の労力と、金銭的負担が発生します。とくに音楽にこだわりなどがない場合は、著作権フリーと明記されている音楽を流す方法もあります。また、著作権の存続期間は著作者の死後70年を経過すると消滅するため、著作権が切れている音楽は許諾を得ずに流すことができます。

BGM配信サービスやラジオを利用する

店舗向けの音楽配信サービスなども存在しており、こうしたサービスは著作権の問題をクリアした上で運営されているため、著作権の許諾を得ずに店舗BGMとして流すことができるのです。店舗BGMの存在が当たり前になった現在では、そういった配信サービスも増え、ラインナップも充実しています。

また、放送中のラジオ番組を、リアルタイムで流す場合も著作権の許諾は不要になります。しかしこの場合は、リアルタイムでの上映と、公共の場で上映会のような形を取らないように注意しなければなりません。リアルタイムではなく録画などの映像や音声をながしてしまうと、著作権の複製権を侵害してしまうため違法になります。

また、大型スクリーンやプロジェクターなど拡大、拡散して上映した場合は著作権の上映権を侵害してしまうため、こちらも同じく違法となってしまうのです。

店舗BGMにYouTubeを利用してもいい?

最近では、店舗BGMにYouTubeの音源を流すとういう方法が提案されています。著作権を気にせずにBGMを流す方法について紹介しましたが、YouTubeは店舗BGMに利用して良いのでしょうか?

YouTubeの利用も著作権に気を付けなければならない

YouTubeにはアーティストのMVや音楽が公開されています。しかし、アップロードされている中には、CDやDVDなど有償で提供されている音楽を無断で公開されているものもあります。これらの動画を違法アップロードと知りながら、ダウンロードして店舗BGMとして使うのは禁止されています。

また、YouTubeには演奏動画も多数投稿されています。こうした演奏動画を店舗BGMとして利用するのは「著作隣接権」となる可能性があります。著作隣接権とは、音楽を制作した人に与えられる権利です。店舗BGMを流す際は著作権だけでなく、著作隣接権にも気を付けなければいけません。YouTubeを店舗BGMに使用するのも注意が必要です。

店舗BGMで得られる効果

「著作権に引っかかったら面倒だし、店内BGMは流さなくていい」と考えてしまうのはよくありません。店内BGMを流すことで得られる効果はたくさんあります。店内にBGMを流すことで得られる効果について紹介します。

店舗イメージが作られる

BGMを店内に流すことで、お店の雰囲気が作られます。「なんとなく落ち着く」「わくわくした気分になる」などBGMはイメージ作りに大きな影響を与えます。

落ち着いた雰囲気のカフェであれば静かな曲、明るい雰囲気のお店であれば楽しい曲を、などお店の雰囲気に合わせてBGMを選びましょう。BGMは何でもいいではなく、お店の雰囲気に合ったBGMを選ぶようにしましょう。

周囲の雑音を消すことができる

周囲の雑音を消すことができるマスキング効果が得られます。マスキング効果とは、同じ周波数の音同士が打ち消し合うため、騒音や雑音に対するストレスが軽減されます。

飲食店の立地によっては、電車の音や工事の音が気になるところもあるでしょう。BGMを流せば、そのようなストレスを軽減させることができます。また、店舗BGMはお客さま同士の会話を聞こえにくくする効果もあるため、プライバシーも守られます。

時間帯に合ったBGMで売り上げアップが期待できる

時間帯に合わせたBGMを流せば売り上げアップにつながる可能性もあります。例えば、飲食店であればランチタイムにテンポの良い曲を流すことで、お客さまの食べるスピードが早くなり、お店の回転率が上がる効果があります。

一方でお客さんの滞在時間をなるべく長くしたいという場合には、スローテンポの曲を流します。スローテンポの曲を流すことによってお客さんの動作も比較的ゆっくりになり、よりたくさんの商品を手に取ってもらえたり、料理を頼んでくれたりします。ただし、このような効果を意識しすぎて雰囲気に合わない曲を流してしまわないように気を付けましょう。

店舗BGMの選び方

最後に店舗BGMの選びかたについて紹介します。店舗BGM選びに困っている人は、ぜひ参考にしてくださいね。

お客さんの年齢や店内の雰囲気に合わせて選ぶ

店舗BGMお客さんの年齢に合わせて選びましょう。利用するお客さんが若い人が多いのであれば、最近の流行りの曲を流す、中高年が多いのであれば馴染みのある曲を流すと良いです。お客さんの好みの曲を流すことで、居心地よく過ごしてもらうことができます。また、店内の雰囲気に合わせた曲選びも意識しましょう。

天候や季節に合わせて選ぶ

居心地のよいお店作りをするには、天候や季節に合わせたBGMを選ぶことも大切です。12月であればクリスマスソング、2月であればバレンタインに合った音楽などです。

雨の日であれば、しっとりした音楽を流すなどして、お客さんに共感してもらいます。天候や季節のほかにも、時間帯に合わせた曲選びもすると良いでしょう。共感を得ることで、お客さんの購買意欲を高めることが期待できますよ。

 

店舗BGMを流すといっても、そこには著作権や利用規約といったルールが多数存在しています。民法や刑法に抵触しないためにも、著作権の知識を持ちながら正規のサービスを利用して安全に運営することが大切です。しかし、「著作権に触れてしまったらどうしよう」「著作権の手続きなど面倒だからBGMを流すのをやめよう」と思っている人は、店舗BGMを流すことによって得られる効果があるため、今回の記事を参考に、店舗BGMを活用してみてください。店舗BGMに困った際には、ぜひこの記事を参考にしてみてはいかがでしょうか。

 

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