健康経営銘柄とは?選定されるメリットや選定までの流れについて解説

公開日:2023/08/01  最終更新日:2023/09/19

従業員の健康管理について企業全体で改善に取り組む健康経営。そのなかで、企業業績の向上につながるとして、健康経営銘柄入りを目指す企業が増加しています。健康経営への取り組みが優れた企業は、健康経営銘柄として選出されます。ここでは、健康経営銘柄に選出されるメリットや選定までの流れについて詳しく紹介します。

健康経営銘柄とは?選定される意義・メリット

健康経営銘柄とは、経済産業省と東京証券取引所が共同で健康経営への優れた取り組みをする企業を選定する顕彰制度です。健康経営銘柄に選定されることにより、企業のイメージアップや快適な職場環境の実現などのメリットがあります。

健康経営銘柄とは

健康経営銘柄とは、経済産業省と東京証券取引所が共同で行う「国民の健康長寿の延伸」に関する取り組みのひとつです。東京証券取引所に上場している企業の中から、健康経営への取り組みが優れた企業を健康経営銘柄として選定します。

健康経営とは、企業が従業員の健康管理を経営的な課題として考え、戦略的に改善に取り組む経営方法です。従業員への健康投資によって、活力向上や組織が活性化することで、企業業績の向上が期待できます。

長期的な視点での企業価値向上を重視する投資家に向けて、健康経営への積極的な取り組みは、今後の企業価値や株価向上が期待できる魅力的な企業として紹介されます。

少子高齢化による生産年齢人口の減少、労働者不足が問題視されるなかで、従業員が健康で活力をもって働くことができる企業は、投資対象としても魅力的な企業だといえます。健康経営銘柄の選定には、健康経営への取り組みを促進する狙いがあります。

健康経営銘柄に選出される意義

健康経営の実践は容易ではないため、導入を躊躇する企業もあります。健康経営に積極的に取り組む企業が情報を発信することで、健康経営のメリットを他の企業にアピールすることができるでしょう。

企業のイメージアップが期待できる

健康経営銘柄に選定されることで、従業員の健康管理に積極的に取り組む優良企業として、企業のイメージアップが期待できます。取引先や投資家、ステークスホルダーからの高評価が獲得できるため、信頼構築にもつながるでしょう。

従業員への健康投資は、求職者や転職者にも魅力的な要素です。企業のイメージや信頼性、魅力が高まることで、優秀な人材の獲得も期待できます。

快適な職場環境の実現

企業全体で従業員の健康投資に取り組むことで、オーバーワークや人間関係、業務パフォーマンスの改善が期待できるため、快適な職場環境の実現につながります。職場環境が整えられることにより、清潔で明るい雰囲気、従業員同士のコミュニケーションが活発になり、従業員のモチベーションもアップするでしょう。

従業員一人ひとりがいきいきと働くことで、業務パフォーマンスが向上し、企業の業績アップも期待できます。

従業員の健康状態の改善が期待できる

従業員の健康状態の改善が期待できます。健康状態が良好であれば、従業員の業務パフォーマンスが向上するため、企業業績アップにつながるでしょう。オーバーワークや疾患、メンタルの不調などを抱えて健康状態が悪いまま仕事を続けると、欠勤や休職、離職につながる恐れがあるため注意が必要です。

従業員への健康投資で、食生活の改善や適度な運動の習慣化により、病気を未然に防ぐ効果が期待できます。従業員の健康状態が良好であれば、病院にかかる回数が減るため、受診料や薬代などの医療費を抑えられるでしょう。企業が負担する医療費の削減や離職率の低下、定着率アップにもつながります。

健康経営銘柄を目指すならここに注意!

健康経営には、効果を得るまでには時間がかかったり、数値化が困難だったり、などの特徴があります。健康経営を目指すための注意点について、詳しく解説します。

効果を得るまでには時間がかかる

健康経営に取り組むことにより、少しずつ改善に向かうため、すぐに効果を実感することはできません。効果を得るまでには時間と人材コストもかかるため、長期的な視点で取り組むことが重要です。

数値化が困難

健康経営は数値化が困難なため、効果が分かりにくい特徴があります。数値の増減の理由が、健康経営の効果なのか、個別の事情なのか、判断が難しいため特定が困難です。

効果が数値ではっきり示すことが難しいため、モチベーションが低下する可能性があります。健康経営の数値は、長期間に渡って効果を測定するのが望ましいとされています。

従業員の不満につながる可能性がある

健康経営への取り組みは、従業員の不満につながる可能性があります。禁煙や運動推進など、希望しない取り組みへの参加を強制されるという印象を与えかねません。取り組みに積極的でない従業員に対しては、取り組むメリットをしっかり伝えること、企業側は従業員のニーズを把握することが重要です。

健康経営銘柄の選定基準と選定フロー

健康経営銘柄の選定基準と選定フローについて、詳しく解説します。

健康経営銘柄の選定基準

健康経営銘柄の選定基準は、以下の通りです。

・重大な法令違反がない

・東京証券取引所に上場している

・健康経営優良法人(大規模法人部門)申請法人の上位500以内

・認定要件をすべて満たしている

健康経営度調査への回答により、経営理念や方針、組織体制、制度、施策、評価、改善、法令順守など、健康経営への取り組み状況を確認、分析します。要件を満たす企業を絞り込み、健康経営銘柄候補として選出します。

健康経営銘柄の選定フロー

健康経営銘柄の選定フローは、以下の通りです。

まず、健康経営度調査に回答し、その結果をもとに健康経営優良法人(大規模法人部門)の認定基準に適合するかを判定します。適合する企業の中から、健康経営優良法人(大規模法人部門)申請法人の上位500以内の上場企業を、健康経営銘柄の候補として選出します。

重大な法令違反がある場合や、TOKYO PRO Market上場会社は対象外です。東京証券取引所の財務指標スクリーニングでは、調査の回答に基づき加点等が実施されます。

自己資本利益率(ROE)の直近3年間平均が0%以上または、直近3年連続で下降していない企業を対象として、ROEが高い企業には加点があります。前年度回答企業にも一定の加点があり、社外への情報開示の状況についても評価されます。

33業種ごとに原則1社を選定しますが、該当企業がない場合は選定されません。銘柄ブランドの価値を維持する目的で1業種最大5枠です。同率があり5枠を超えるケースでは、企業数分の枠が設けられます。

まとめ

健康経営銘柄とは、経済産業省と東京証券取引所が共同で、健康経営への取り組みが優れた企業を選定する顕彰制度です。企業のイメージアップで優秀な人材が獲得できたり、従業員が快適に働ける職場環境が実現できたり、健康経営銘柄に選定されるメリットはさまざまです。

しかし健康経営の効果は数値化が難しいため、長期的な視点で取り組むことが重要。従業員がいきいきとやりがいをもって働ける職場環境は、長期的な視点で企業業績アップにつながることが期待できます。健康経営を導入している上場企業は、投資家や取引先、ステークスホルダーからの信頼獲得が期待できる健康経営銘柄の申請を検討してみてはいかがでしょうか。

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